自分的に慣れてる定番のスタイルで作り、スタジオなど全く問題無い状況で制作できた、、、はずだったんだけど、
なぜかめっちゃくちゃ大変だった。。。(泣)(泣)(泣)
やっぱメンバーが多いグリーンバックものは下準備にものすごーーく時間がかかる。グリーン抜き作業とカメラワークのトラッキング作業がまじでエグかった。

その作業がエグくなる要因の1つは緑メンバーがいる事と、メンバー数が多くて足元などキーイングが難しいところの対処が多すぎる事。
この作業がそもそもまじエグい。。。


もう1つは、カメラ問題。
良いのを作りたい時こそカメラマンさんにお願いするんだけど、グリーンバック撮影は普通の撮影とは色々違うので、注意する事がたくさんある。
やっぱりカメラマンさんってきれいでかっこいい映像を撮るのが仕事の人たちなので、今カメラに写ってるものを最大限その方にとっての完成形に近づけて撮ろうとするんだけど、でもグリーンバック撮影においては、撮影したショットはあくまで編集的に使えるかどうかというのが最低条件であり、最重要になります。だから撮影の時点で完成された構図で撮った場合、逆に言えば編集の幅が無い、って事になります。

以下、この仕事を経て俺がグリーンバックのアイドルダンスものを撮る時にカメラマンさんと共有したい注意点をまとめてみました。

①構図に関して
グリーンバックものは撮影が終わってから背景CGを足すなどの作業が100%入ります。なので編集段階で背景と合わせるまで構図をどうするかは決定できません。出来た背景に合わせてもうちょっとだけ人物を大きくするとか小さくするとか右とか上にずらすとかそういう事をちょこちょこやります。
背景CGが撮影前に完成している事はまず基本的に無いですので、撮影する段階で構図を決定することは結局のところ出来ません。
なので、後から構図をいじれる幅があるというのがめちゃくちゃ重要になってきます。
いじれる幅があるとはどういう事か端的に説明すると、
人物が切れてない
という事になります。
例えば、寄るのは後からPremiereやAEでもズームで寄れますが、撮ったものからさらに引くことは後からでは不可能です。
つまり、寄って人物が切れてしまったショットは後から構図をいじれる幅が少ないという事になります。
後の編集で、背景をたくさん見せたいので人物を縮小したいと思ってももしそのショットが寄りで撮られていて頭も足も切れている場合、それ以上人物を縮小できなくなります。
構図や配置を編集段階で作っていくので、基本的には上下左右が切れてない方が構図をいじれる幅的にありがたいです。
また、寄って撮る場合に体のどこかしらが切れるとすれば、頭が切れちゃうよりは足から切れていく方が後々使いやすいです。足が切れても拡大縮小の余地はたくさん残っていますが、頭が切れていると使い勝手が極端に悪くなります。
②トラッキングポイント(緑色の十字マークなど)に関して
グリーンバックものでトラッキングをする場合、背景や地面のトラッキングポイントが常にたくさん連続して映っている事が絶対に必要になります。
例えば一連の動きがあるショットにおいて、人物に寄りすぎてしまって背景のトラッキングポイントが隠れて一瞬でも見えなくなると、そこでトラッキングが出来なくなっちゃってそのショットがどんなにカッコよく撮れてても使えない素材になってしまいます。
最低でも同時に8個のトラッキングポイントが写っているという事がカメラトラッキングをする最低必要条件なのですが、実際は8個だけ映ってるだけでは全然足りませんので、上下左右に余裕をもって、トラッキングポイントをできるだけたくさん抑えておく必要が絶対的にあります。
特に人数が多いグループでダンスのフォーメーションをカメラワークをつけて撮るショットでは、トラッキングポイントが常に見え隠れしていくので、トラッキングはなかなか難しいです。なのでそういうカットはなるべく上下左右に余白を持ってカメラで抑えておいて欲しいです。
一度も人物に隠れないトラッキングポイントがあればあるほどトラッキングが簡単になります。そういう意味では上部や手前は人物で隠れにくいのでなるべく意識して映しておいて貰えると、トラッキングで助かります。

これはカメラだけの問題じゃないんですが、スタジオサイズに合わせたトラッキングマーカーのサイズも考慮すべき。広いスタジオだったら大きめにしたり、手前の方の人物に被らない地面は黒とかの目立つ色にする。



③カメラワークについて
特にアイドルのダンスショットでカメラワークする場合ですが、とにかく全員が映っていて、ダンスのフォーメーション感が分かるものにしたいです。
全員が切れずに映っていれば、後から拡大してリップの子に寄る事も出来ます。ダンスを見せたい時もキレイにフレームに配置できます。
カメラワークをしていても基本的にはリップのメンバーがメインになってくるかと思うのですが、リップの担当はころころ変わりますし、そのメンバーもダンスのフォーメーションでどんどん動きます。
しかし、そのリップのメンバーとダンスのフォーメーションとを撮影前に完璧に把握してカメラで追えるようになっておく、というのは実質不可能です。
なのでどうしてもぶっつけ本番で何テイクかかけてやりながら良いのを抑えていく、という事になると思うのですが、アイドルメンバーの動きとカメラの動きがどっちも上手くいって奇跡的に合わさっている部分しか使えず、これまでの自分の経験上そんなに成功率が高くない印象です。その場ですべてを確認して修正する事もかなり難しいかと思います。
なので、編集時の使いやすさとして、常に全員を収めるという事を意識していただきたいです。
あと自分的には、カメラマンさんのカメラワークで撮られた物を、さらに後編集でズームしたり動かしたりするのを足すとめちゃくちゃいい感じに面白くカッコよくなると思っていて、それがやりたいことでもあるので、寄り引きを後から出来るようになるべく人物が切れずに撮っていただけたらありがたいです。
1曲通して撮る時も、縦横無尽におまかせで撮る前に、このテイクは前後移動のテイク、このテイクは横移動のテイク、と切り分けて無難なテイクをある程度重ねてから自由なテイクを撮る方が良い気がします。
ダンスの最中にグワーッとめっちゃ寄っていったり、横方向にスライドしていく、などカメラワークをダイナミックにキメて演出したい時は、その部分だけ別でピンポイントに撮影したいです。
以上になります。

④フォーカス
あとは撮影規模が大きくなるとフォーカスマンがついてる事が多いけど、無線で飛ばした映像を見ながら合わせてるから俺の感覚だとピントが合うまでに0.5テンポずれてる。グリーンバックものの場合、一瞬でもピントがはずれると使えないショットになるから、オートフォーカスにして欲しいです。

まとめると、
・寄りで撮って人物が切れると編集の余地が無くなるので、引きで撮る
・トラッキングポイントは常に連続して見えている必要があるので、上下左右に余裕をもって、できるだけたくさんトラッキングポイントを抑えておく。
・ダンスショットのカメラワークでは常に全員が映るように撮る

全てにおいて共通してるのは、広く撮る、という事です。編集のいじり幅においても、トラッキングにおいても、広い事はめちゃくちゃ重要になります。
ちなみに、広く撮るとどうしても人物が小さくなってしまいますが、最近は後編集でのズームでかなり寄ることが出来ます。4Kで撮っていればAIを使ったアップスケールでかなりキレイな8K素材に変換できるのも含めると、なんだかんだ3倍以上拡大できます。なので、結構引いてるな、と思うくらいでも大丈夫だと思います。


(ここまで書いて、まぁグリーンバックの時は俺が自分で撮影したらいいか!って思ってきたわ!!!!!!!!!)


とにかく、この案件はマジで大変だった。グリーン抜きとトラッキングが延々終わらなくて、なんか全然クリエイティブな時間が少なかった・・・。
でも今後もこういう複数メンバーのアイドルちゃんMVの依頼はきた時にちゃんといいのが作れるように、知識やパターンを学習して知見を深めます。

マジで固定カメラか、ゆっくり前後左右だけ、がメインになってくるかもね。演出ももっとちゃんと詰めてって、あくまで素材として集めておきたいショットと、明確な意図のあるショットだけ撮ると。

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