neco眠る - ENGAWA DE DANCEHALL
ディレクター:坂本渉太
ENGAWA DE DANCEHALLのPV制作の話( ̄▽+ ̄*) 2009-06-30 

neco眠るのENGAWA DE DANCEHALLという曲のPVを作った
舞台は江戸時代。鬼や動物たちと人間たちの交流を通して、ゆかいな世界を表現したくて、そこにハッピーな感じとか世界平和みたいなんをばーんとやりたかった。
江戸時代というのは、確か元々neco眠るがむかしそんなこと言ってたっけな~とか思って、で曲を聴いたら「あ、やっぱこれは江戸やわ」ってすんなり決まった。
テーマとしては、、
・まんが日本むかしばなし
・泣いた赤鬼
・北野武の座頭市
の3つがモチーフとなった。
制作に当たってまず図書館に行った。江戸時代といっても、具体的に誰がどんな生活をしているのか全く知らない。特に今回は農民とか商人という平民の人たちをメインにしたかったので、まずは江戸時代にどういう職業があるのか、そしてその人たちがどういう服を着てどういう家に住んでいるのかなど、イメージだけじゃ絶対に絵に出来ないので、かなり図書館に通って調べた。細かく調べないと絵にできない。それで図書館からそういった資料集や絵本など色々借りてきた。

そして、ひたすら曲を聴きながら、借りてきた資料を見て、頭の中に浮かんでくるイメージやアイデアをノートに書き留める。この作業はとても時間が掛かった。今回は、ボガルタのメッ政治の時のような一発ギャグで押し通す感じではなく、ある程度ストーリー性や風景をもたらせようと思っていたので、絵コンテのようなものは結構綿密に作っておかなければならなかった。どこにどんなキャラを配置するのか、そのキャラの存在意義はあるのか、寝ても覚めても延々ENGAWA DE DANCEHALLを聴きまくって、イメージをしぼりだす。ひとつネタが思いつくたびに一人で大笑いする。サイコーや!めっちゃおもろい!って叫ぶ。「鳩が出てきてバンザイしたらおもろいんちゃう?ウワ絶対おもろい!」とかそういうのをひとつずつやっていく。「鬼が餅つきしてたらめっちゃ愉快やな!」「鯛はめでたいの鯛やもんな!」「鳩は平和の象徴や!うわーすげー!!!」

パソコンに向かって絵を描いたり動かしたりする実作業の時点でアレコレ悩みたくなかったので、もう事前に完璧に絵コンテを仕上げようと思ってて、それでもうかなり詳細にネタやラフ絵を書き加えていっていた。家でやっているとどうしても誘惑が多く集中できないので、深夜のファミレスに行ってネタを作ったりもした。そうやってどんどんネタノートはできていった。一度そのノートをなくしてしまって、やる気が完全に無くなったりもしたけど、やる気を出してまたノートを買ってきた。でもノートはすぐどっかに行くので、最終的にはでかい画用紙に全部アイデアとか進捗状況を書き込んでいった。画用紙ならでかくてクソ邪魔な分だけなかなか失くさないから便利だった。

でもノートをなくしたときは超がっくりきてうーわダル~って感じでそっから3ヶ月くらいこのPVのこと一切手をつけなかった。でも忘れることはできず、毎日毎日「あ~やらなあかんな~、まいっか、明日からやろ~っと☆」って、しかしそんなこんなで制作をサボりまくっていたある日、ついにこのPVの〆切が決まってしまった。
その日は5月10日・・・!
それを告げられたのが4月の上旬。つまり残り時間はあと1ヶ月・・・!しかもそのPVは今度出るneco眠るのミニアルバムにエンハンスドで収録される予定なので、絶対に納期に間に合わせなければならない!
その時点では、アイデアはほぼ出来上がっていたものの、映像としては10%程度しか完成していなかった・・・。全部で10シーンほどあるうちの、まだ最初のシーンしか出来てなかった。ということは、残り9シーンを1ヶ月で、要するに1シーンを約3日で終わらせていかなければならないスケジュールになってしまった!
そこからはすごかった。寝て起きて作って作ってメシ食って作って作って寝て起きて・・・昼も夜もわからずに作り続けた。自分にこんな集中力があったのかと驚いた。地道な作業で少しずつアホなアイデアを形にし、映像にして積み上げていく。もう脳は完全にパンクしていて、頭はブッつぶれていた。鬼がもちをついてタヌキとキツネが応援して、農民は畑を耕し、俺は頑張って作った。
真っ暗な道を一人で走っていた。
〆切まであと1週間ほど、というとこまできた。8割がた完成していた。やっとここまで来た、あともうちょいふんばって頑張れば、完成するぞ~、よっしゃやったるで~~~!!
と思ったときに、ふと嫌な予感が頭をよぎった。
それまできた道のりを振り返ってみた。
本当にこの道でよかったのかな?と疑問が浮かんでしまった。
めっちゃおもんないものを作ってもーてるんちゃうん?と思った。
楽しい感じとか世界平和とかをやろうと思って作ってたけど、全然おもんない単調でつまらん映像なんじゃないのかなって思ってしまった。
自信が全くなくなってしまった(/TДT)/

一人で何かを作るというのはとても孤独だ。
一回でもスベッたらもうそこでおしまい。誰も次の仕事を頼んでくることは無い。ボガルタのメッ政治はいろんな人が褒めてくれて話しかけてきてくれて嬉しかったが、今回のでおもんないのを作ってしまったら、もうそれも終わりだ・・・。
それでも、もうそれまで来た道でゴールを切るしかない。
でも自信が無い!!!
どうすればいいんだヨォ~!
しかし、そんなタイミングで、すばらしく泣けるような励ましのメールをもらったり、mixiで愚痴ったら恐ろしく勇気付けられる励ましのコメントをもらったりした。
死ぬほど癒されて、ありがたかった。
誰にも相談できずに孤独に作っていたけど、最後の最後はいろんな人に背中を押されて、なんとか完成させることが出来た。
そんでyoutubeにアップした。
いろんな人が、おもしろい!とか、めっちゃ楽しい!とか、元気になる!とか言ってくれていた。本当によかった。すごいと思った。
だってこれは、ボーカルがいたり、いい歌詞があったり、イケメンとか美少女が映ってたりするPVではないのだ。
これはインスト曲なのだ。
インスト曲に乗って俺のアニメが動くだけの映像。しかも、こんなクソ下手な絵で、映像的な技術も超陳腐。
そんなので、めっちゃ楽しい!とか元気にもらえる!とか言ってもらえてるってけっこうすごくない?
とても素晴らしいことやと思った。嬉しすぎる。自信になった。

いまのとこまだモテてない。
2009-06-30 

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